スペシャルインタビュー PSYCHO küi METALLICS 3/6|スタジオラグ

スペシャルインタビュー
PSYCHO küi METALLICS | スタジオラグ
現布陣において、サウンドやそれ以外でも特徴的なところはありますか?
佐藤:PSYCHO küi METALLICSって多分HIROCKが歌ってて俺がギターを弾いていれば、PSYCHO küi METALLICSに聴こえると思うんですよ。もしかしたら俺が弾かんくてもいいのかもしれん、くらいの。きよたきが入ってからのPSYCHO küi METALLICSというのは、それまでは割とフィーリング重視やったんですよ。もの凄く作曲者とか作詞者のフィーリングを重視してて、曲の作りとかもそういう感じで。不協和音が鳴ること自体も必要やし鳴る、この感情やったら綺麗な音鳴らへん、みたいな。ここはもっと速いやろとか、もっと遅いやろとか。波形で見てどう、とかいう話はほとんどしたことなかったんです。けど、きよたき入ってからは、もっと音楽的な話をするようになったんですよ。整合感があるんじゃないですか?今の方がずっと。昔はもっと感情優先な感じやったんですけど。伝え方と言うのに対して、これを伝えるには「整理して言った方がいいんちゃうか」と思うようになりましたね。今までやったら、「強くこれを言おう」となってたんですけど。
HIROCK:きよたきは音に対しても繊細なんで、人間もそうなんですけど。りんりんは勢いでどーんという感じやったんですけど、きよたきのおかげで音はすごい綺麗になりましたね。整理された部分はあります。
音楽的なバックグラウンドは、皆さんバラバラですか?
佐藤:俺はおとんが持ってたレコードがあって、それから音楽に対して興味を持つようになったんですよ。だからハードロックから入ってるんですよね。今でもレッド・ツェッペリン好き、みたいな。そこからだんだん激しい音楽になって、当時流行ってたKORNとかも好きですけど、ルーツは何かと言えばハードロックちゃうんかなと思ってます。
HIROCK:私のルーツはJ-POPとビートルズじゃないですかね?私の曲を知ってる人は皆分かると思うんですけど、大体全部ビートルズ進行なんですよ。オアシスとかコピーできたら、大体ウチが書いてる曲コピー出来るんですけど(笑)そういうところと、ミーハーになりたい人やったんですよ。おやじが本当にロックが好きで、HIROCKと付けたのもおやじやったんですけど、おやじのせいで同世代の聴いてる安室奈美恵とかに敏感じゃなかったんですよ、小学校低学年の時に。ショックやったんですよ、それが。だから自分も聴こうと思って、最初に影響を受けたのはJUDY AND MARYで、それっぽいことを昔もしてたと思うんです。今はちょっと変わってきましたけど。
佐藤:影響は絶対あると思いますよ。俺ら全員好きなんで、JUDY AND MARYは。
HIROCK:めっちゃ特化して好きなのは浜崎あゆみとGLAYとミッシェルガンエレファント、この3つがもう好き過ぎるって言う(笑)
共通点は?(笑)
佐藤:90年代に流行ってた音楽(笑)
HIROCK:小室さんとか好きなんですよ。プロデュースして欲しいですね、小室さんに(笑)
ゆうさんはどのあたりですか?
佐藤:ゆうは俺の2歳下なんで、青春パンクをずっとやってたんです、バンドとしては。俺ら兄弟なんで、影響があったからやっぱりハードロック・メタルとかは好きですね。きよたきは、BUCK-TICKが好きですね(笑)あとプログレとかも好きやもんな、普通に。
HIROCK:よくある感じじゃないですか?バックがハードロックとかプログレ好きで、ヴォーカルだけミーハーっていう。よくあるタイプのバンドやと思うんですけど。
佐藤:最近は多いけど、昔は全然いいひんかったで?メタル的なオケで歌だけ歌謡曲っていうの、最近ここ何年かは普通になりましたけど、10年くらい前はなかったで、全然。
HIROCK:ウチのバンドはそれをやってたんですよ。結局そうなってしまうんで。自分のパートは自分で作るようにしてるんで。
佐藤:あまり固定したくないんで。あまりに違うと言うんですけど(笑)
HIROCK:大体ここ2人が曲作るんですけど、「それは違う」ってよく喧嘩になります。あと、私のブームもあるんで。その時に何が好きかによって曲も変わるんで。perfume好きで速効オートチューン取り入れたり。
佐藤:すぐするんですよ、俺らそういうこと(笑)
HIROCK:だから好きな音楽っていうと結局決められないな。
佐藤:いい音楽は何でも好きなんですよ。
HIROCK:多分それが自分らの隙間ロック感と言うか、個性を出してるんだと思うんですけど。
今年の6月9日には、10周年記念&リリースパーティーを行いましたね。相当に感慨深いものがあったと思いますが。
HIROCK:それが意外になかったんですよ。
佐藤:むしろ準備に追われて。レコ発イベントはいいんですけど、10周年企画やったんで、前の年から準備とかしてたんですよ。プラス、レコーディングと、プロモーションもせなあかんしみたいなんで、流通の関係とかも全部締切があって、手続きがどうたらとかでひたすら追われてたんで。
HIROCK:しかも前の年私がすごい病んでたんですよ。
佐藤:2010年の終わりくらいやんな?バセドウ病になって、そこからきつい時期ではあったんですけど。去年1年間は病気と闘うくらいの感じやったんで。今年も体調的には良くはないんですけど、やれてるんで全然いいかなとは思うんですけど。かなり余裕もって始めたレコーディングのはずが、かつかつの締切になって。
HIROCK:泣き出してレコーディングブースから逃げ出すとか、そういう事件もよくありましたね。イベント当日は面白かったんですけど、達成感というのは正直なかったんですよ。
佐藤:やっと終わった、という感じ。
HIROCK:ウチは逆で、こっからやなと思ったんです。終わった、もあるんですけど、ああこれからやなって。今来年の6月8日までツアーしようと思ってるんですよ。
佐藤:入るライブ全部ツアーにしようと思って。
HIROCK:ウチらにとっての11年目、10周年のこの1年間はと思ってるんですけど、逆にやっとこの1年間が始まると思ったんです。そこに対する満足感というよりは、来年にこれがどれだけ変わるかという気持ちの方が大きかったんで、正直ファイナル感はなかった。ツアースタート感があったんで。
佐藤:それはあったな。
HIROCK:だから、まだまだやるぜ、って感じですかね、今は。
一言に10年と言っても、10年続くバンドは少ない訳で、結成当初には10年後もまだ活動してると思っていましたか?
HIROCK:東京ドームでやってると思ってました(笑)
佐藤:下手したらドームとかでやって、もう解散してるくらいの(笑)
HIROCK:当時は根拠なき自信がいっぱいあったんで。最近のバンドマンって謙虚過ぎると思うんですよ。プロになりたいの?メジャー行きたいの?って聞いても、皆「いや、そういう訳じゃないんですけど」って言う子が多過ぎると思うんですよ。
佐藤:それはちゃうって。俺らの時、90年代後半ってめっちゃCD売れてたし、めっちゃバンド売れてた。でも、今の子ら売れて10万枚とかやで。俺らが見てる何分の一、下手したら10分の1切ってるで。そんなんで夢見れへんて。
HIROCK:それでも、有名にはなりたいんですよ。何かしらの理由で、有名にはなりたいんです、とても。◯◯の社長とかでもいいんですよ。でもそれやったら、この翔さんと一緒にやりたいと思ったんで。当時は謎の「絶対いける!」みたいなのがあったんですけど、続けていくうちに難しいなと思いましたね。
佐藤:今回のアルバムのジャケットが、墓標をイメージしてるんですけど、海外の墓標って、出生年と死んだ年を入れるんですよ。何回もそこに数字が入ったんですけど、俺らの中で。入って終わりそうになったことが何回もあったんですけど、その度に、いややっぱ俺ら続けたいなと思って。上書きして消してきたっていう意味合いがあって。「Is (not) Dead」ってタイトルも(not)なんですよ。
HIROCK:何回も死にそうになったんです。
佐藤:死んでる、死んでない、っていう自分の中の生死観は等価値やっていうのもあるんですけど。