スペシャルインタビュー PSYCHO küi METALLICS 6/6|スタジオラグ

スペシャルインタビュー
PSYCHO küi METALLICS | スタジオラグ
次の曲は「恋がしたいわ ~一度きりじゃないI LOVE YOU~」です。
HIROCK:これはウチの曲です。王道2コードしかない。
佐藤:王道じゃないもんな、これ。ここまで来ると。
HIROCK:佐藤さんがいつも悲しむタイプの曲ですね。普通にやったら全然面白んないんで、アレンジを。
佐藤:最初歌詞とメロディがあったんかな?それだけ言われて、音拾ったらFとGしかなくて。サビまで全部ずっとFとGなんですよ。こんなん曲できひん、せめて代理コード置かしてくれって言っても、代理コードとか置くとおしゃれな雰囲気とか出るじゃないですか。違う、って言うんですよ。もっとストレートな感じとか言うから。
HIROCK:ロックンロールが良かったんですよ。
佐藤:どうしようかなと思って。で、四苦八苦して最初のイントロのリフを考えましたね。
HIROCK:振り付けも考えたもんね。
佐藤:振り付けは「踊れへん」って言いましたけど。
HIROCK:これもシリーズものなんですよ。「恋がしたいわ」とこの後出てくる「恋をした」、そして「もう恋なんかしない」まで一応今のところ書いてるんですよ。「恋アルバム」というのをリリースするのが夢なんですよ。PSYCHO küi METALLICS ニューアルバム「恋」って言って、全部恋の曲ばっかり。それはすかんちに影響を受けて、「恋のマジックポーション」とかあるじゃないですか。あれをイメージしてるんですよ。「恋」って入ってる曲を書きたい(笑)だからこれはリシーズ第一弾なんです。
佐藤:ギターソロも変なことしたくて。何パターンも録って、いつもギターのディレクションはサカモスに任せて投げてるんですよ。信頼関係もあるんで。サカモスがいいって言ったら俺の中でOKなところがあって、何パターンか聴いてたんですけど、最終的に「俺もう変態の理解分からへん」って言われて。じゃあ、これにしてって。
HIROCK:でもこれ何がすごいって、想像して欲しいのがトレンディドラマとかのオープニングの映像あるじゃないですか。バックはかわいい柄とかになってて、男の子追っかけてるけどこけたりするシーンが似合うギターソロになってるんですよ。それはウチの中でイメージがっちりしてて。
佐藤:ソロはやっぱ大事やって。俺が大事にしてるのは、ソロに入る前のパートとその後のパートと、こうなったらこう弾かなあかん、こうなったらこうやしとか、すごい大事にしてるんで。意味合いとかメロディの感じとか、使っている音とかはすごい意識しますね。
次の「LOST」はまた結構重めの曲ですね。
佐藤:収録曲決める時に、曲はあったんですけどやっぱどこにも出てない曲欲しいなと思って書き下ろした曲です。イントロはアンビエントな雰囲気で、BメロはMötley Crüe、サビはIRON MAIDENっていうおれの趣味全開の曲です(笑)歌詞もおれで、きっとおれらは失うことで前進してきたんやろうな、って歌。
HIROCK:この曲は珍しくサビで英語を歌うんですけど、私英語が苦手で、レコーディングが大変でした(笑)曲も歌詞も佐藤が書いたってことで、これは個人的な実感なんですけど、今までで最も「HIROCKが歌う」ことを意識して書いてくれた気がする。愛を感じました。
「恋をした」は唯一のアコースティック曲ですね。一発録りですか?
佐藤:同じで部屋でやってる様な雰囲気にしたくって、HIROCKと2人で同じブースに入って録った曲です。基本1発録りで、どっちかが間違ったらやりなおし(笑)でもめっちゃ良い雰囲気になったし、曲も凄い好きです。やさしい感じ。
HIROCK:私の「恋」シリーズ第二部なんですが、実際に恋しちゃいました。個人的にも凄く好きな曲。
アルバムラストを飾るのが、大曲「いつか死んでもいい日がくる」です。
HIROCK:ウチの人生史上、一番自分にとって大事な曲ですね。この曲書けてから変わりました、ホンマに。人も変わったし、一見ネガティブに聴こえるけど。
佐藤:この曲出来た時に、きよたきのいるPSYCHO küi METALLICSは、こうやっていこうっていう確信があって、そういう意味ではすごい大事な曲ですね。歌詞の意味的には「いつか死んでもいい日がくる」ってすごいネガティブなイメージなんですけど、でもそれは逆転の意味で、その時丁度子供がいじめられたりで自殺するような事件が多くて。でもやっぱり俺は今じゃないと思ったんですよね。今日は死ぬ日じゃないよなと思って。いつか死んでもいい日がくるっていうのは、いつか来るのであって、今日じゃないって言いたかったんですよ。
HIROCK:すごいポジティブな曲です。バンドやってる人って一緒やと思うんですけど、いつか世界で一番かっこよくなりたい、ウチはそう思ってるんですよ。バンドやっている以上は、世界で一番かっこよくなるまで死ねへんと思ってるんですけど、それになりたいって言ってるんですよ。いつか死んでもいいって思える日が来ることを僕は願ってる、そういう意味なんです。ウチも色々辛いことがあったんですよ、去年一昨年と。大事な人が死んだりもしましたし、自分も病気になったりしましたし、親父が倒れたりもして、自分も折れてしまいそうやったんですよ。自分も死んでしまいそうなくらいに、もう諦めてしまいそうやったんですよ、本当は。けど、そうじゃないなって思えたのは結局は人のおかげやったんですよ。大事な人のおかげで、そうじゃないなと思ったんですよ。関わってくれた全ての人、ライブに来てくれる人もそうですし、親とかもそうですけど、全員に対するラブソングっていう曲ですかね、自分にとって。誰に聴いてもらっても支障ないと思ってるんですよ。むしろ自分のこと知りたいんやったら、この曲1曲聴いてくれよっていうくらいの。そういう1曲が書けたなと思ってます。
佐藤:曲としてもこだわってるところはありますね。歌詞最初に来た時に、ホンマはこのサビの後にもう1節あったんですけど、これは違うと思って。MUSEの楽屋に居た時にたまたまメールで歌詞書いてきて、お!と思ったからすぐ曲書いてたんです、その時に。サビの後にある文節が要らんということになって、帰って来た時に「これ要らん」って言ったらめっちゃ喧嘩になって(笑)この曲は自分の中でも絶対そうやと思ったんですよね。だから音的にもすごくこだわりがあって、ホンマの意味で60年代とか70年代の音にしたなと思って。リミックスしてた時も、最初からそういう方向性やったんですけど、もっとそういう風にしたいとなって、金物のハイを全然鳴らしてなかったりとか、そういう風にして空間作ったりとか。
HIROCK:今は知ってる人には前作の「『YOU』みたいな曲」とか言われてますけど、全然違うんで。ウチが書く曲バラードは全部カノン進行なんで、似てるんですけど。
佐藤:このアルバムの根本的な方向性として、10年目っていうのも一つあったんですけど、まず自分がやりたいことをやろうというのがすごく大事にしてて。1個前のアルバムまではどこか、それはそれでやりたいこと、全部やりたいことあるんですけど、例えば聴く人のことを意識してたりとか。その人に受けそうな、いいって言いそうな曲を書いてしまってたりとかはしてたんで。それは好きやからやってるので、いやいややってる訳じゃないですけど。けど今回は外に基準を置かんと、中に置こうと思って書いてますね。だから「YOU」とかは狙って書いたと言うか。実は俺はあんまり好きじゃないんですけど、やっぱりこうやったらお前ら喜ぶやろぐらい割り切ったというか、基準を自分じゃなくて他人に基準を置いてみて書いた曲で、一定の成功はあったと思ってるんですけど。こういう歌詞で、こういう音で、こういう風にコーラスが入ってきたら皆感動するやろ?とか、そういう考え方で作ったんで、この曲とは真逆と言うか。この曲はホンマに自分の好きな音出して、自分の好きな言葉を使って、皆が嫌がるようなことも言って、けど自分が言いたいこと言おうとして。このアルバムを通してそれは出来ましたね。この曲があったことで、他の曲も基準を曲げずに出来たなと。
HIROCK:個人的には「is(not)dead」で佐藤が攻めて、この曲でウチが攻めてるイメージなんですよ、このアルバムって。それぞれの切り札って言ったら変ですけど。ウチも実はたまたまこの曲でLUNA SEA意識してます(笑)
佐藤:歌詞カードの蓋開けたところに書いてある文章があるんですけど、それは最後にぼそっと入ってるんです。フロントにある文章が「is(not)dead」のサビなんですけど、その一番後ろのページにあるのが、この曲の1文節ってことで、一つの軸になってると言うか。そういう曲ですね、やっぱり。
そんなええ曲で締めくくられる本アルバム、我々がゲットする方法にはどのような方法がありますか?
佐藤:各CDショップさんに注文していただくか、もしくはamazonやタワレコ等オンラインでも買えます。フィジカルじゃなくてデジタルがいいという方は、iTunesとかamazon.mp3とかオリコンのミュージックストアとか、色々買えるようになってるんで、どっかしらに「PSYCHO küi METALLICS」と打込んでもらえれば出てくるんじゃないかと。
来年の6月までレコ発にしちゃおうというお話しでしたが、この後のライブスケジュールは?
佐藤:10月5日京都ライブスポットラグ、10月11日に心斎橋CLUB JUNGLE、10月20日京都西院GATTACAは決まってまして、11月はまた関東の方に行くんですけど、今決まってるのが13日が宇都宮ハロードリー、14日が東京大塚ディーバです。多分もう1本増える予定ですね。
先月のJSFアーティスト「六合」と同じく、サイコキも歴代ラグレコスタ(河原町、伏見、西院)コンプリートですよね?いつもありがとうございます!今作は西院にてレコーディング&ミックス、でよろしかったでしょうか?
佐藤:伏見も数曲のボーカル録りで使いました。
HIROCK:コンプリートです、有り難いです!歌は数曲伏見店で録らせてもらいました。私にとって伏見店のスタジオは、あたたかくて、ヴォーカリストに嬉しいハコです。
今作の制作期間はどのようなスケジュールでしたか?
佐藤:フリーダウンロードを2ヶ月に一回やるって企画をやってたんで、2012年の7月から始めてちょこちょこやって13年の3月までですね。
歴代ラグレコスタを経験されている皆さんにとって、現在の西院店のレコーディング環境はいかがでしたか?
佐藤:デカイ音で録れるのがギター的にはありがたいですね。爆音です、いつも。ドラムの音も過去では一番良いと思います。
エンジニア:阪本とも、随分長いお付き合いになりましたよね?昔から知っているアーティストの皆さんから見て、最近の阪本エンジニアはいかがですか?
佐藤:ずっとそうですけど、ホンマに真摯にこちらの要望に答えようとしてくれるんで、いつも助かってます。ミックスやマスタリングもどんどん上手くなってると思いますし、こっちも細かいところまで妥協せずに言えますね。作業がどれだけ深夜に及んでも、文句も言わずに付き合ってくれます。
HIROCK:さかもす(阪本)は、普段から仲が良かったりもして、だからかもしれないけど解ってくれる。私の歌だからこそやるぜ!ってさかもすが、嬉しい。ディレクションもほとんどお願いしています。
引き続き次回作も是非ラグで録音いただければと願いますが、「ここはもっとこうしてほしい」といった改善要求はありますか?
佐藤:ブースの中にも良い電源があったら嬉しいです。ドラムも録音用のは普段使うのと別にあったら嬉しいですね。
HIROCK:私は精神が不安定でもろいので、ストレスのない環境があれば嬉しいですね。今が駄目ってわけではないんですけど、更に自由になれる空間があれば、もう無敵!って感じ。
10年という節目を迎え、今後の活動について目標や展望をお聞かせください。
佐藤:新しもの好きなんで、どんどん新しい形には適応してるタイプやと思うんです、俺らは。いち早くiTunesに曲も上げましたし、amazonとかもものすごく早く売れるようにしましたし、そういう風にやっていくんじゃないかと思います。新しい形態に対してフィットしていきたい。
音楽的にもどんどん新しい要素を?
佐藤:好きなことがある限り、やり続けると思います。
HIROCK:ウチはロックを殺したくない!ロックは殺さない!
10年後、PSYCHO küi METALLICSはどのような活動をしていると思いますか?
佐藤:正直、明日のことも分からないんで。。
HIROCK:最初のアルバムで帯の文字を「明後日のことは知らない」ってしてたんですけど、そういう感じなんですよね。
10年先など分かるかと(笑)
HIROCK:まずは東京オリンピックにカーリングで出て(笑)
では最後に10年続く活動を目指す、スタジオラグご利用のバンドマンにメッセージをお願いします。
佐藤:死にそうになることもありますけど、それくらい本気になってやることはいいことやと思うんで、やってみたらいいんちゃうかと思います。多分熱意がなければ、大分手前で止まると思うんで、やったらいいんちゃうかと思います。
HIROCK:根本的に、「やろう!」と思った気持ちを忘れないことじゃないですかね。それは忘れる人が多い気がしますね。売れたいとか思い過ぎて、音楽も変わってしまったりとか。
佐藤:僕らがまだ5年目くらいのころに、SPIRAL-JAPのこーじさんという人がいて言われたのが、「お前らこれから業界の人間の顔見て曲書くようになるけど、絶対そんなことするなよ」と。このアルバム書いてた時に、やっぱり思いましたね。あ、それは正しいなと。前のアルバムとかはそういうのがちらちらと見えてたんで。それよりは、やりたいことやった方がいいと思います。