スペシャルインタビュー PSYCHO küi METALLICS 4/6|スタジオラグ

スペシャルインタビュー
PSYCHO küi METALLICS | スタジオラグ
10年続けて来られた、理由・秘訣などありましたら、是非お伺いしたいのですが。
佐藤:強いリーダーシップちゃうか(笑)
HIROCK:プライベートで極力メンバーに会わない。よくあるじゃないですか、スタジオ終わってバンド内で一緒にご飯食べに行こうとか。ウチらのバンドは3年に1回あるかくらいやね?あとは、ストレスがないように自由にやることですかね?
佐藤:やりたい人が、仕事をやるべきなんですよ、バンドって。皆やりたくてやってるけど、やりたさが違うじゃないですか。「俺はベースを弾きたい」というやつはいるとしても、「俺はギターも弾きたいし、CDも作りたいし、できたら売れて欲しい」と思っているやつと、大分違うんですよ。それを例えばバンドのためやからやろうぜという人は多くて、それで喧嘩になったりするじゃないですか。けど、そこでやりたいやつがやったらいいと思うんですよ。じゃあ、俺が全部やる、だから手伝ってくれ、って言う方が絶対いいと思うんです。このバンドは結局、見えへんとこの事務作業はほとんど8割方俺がやってるんですけど、俺がやりたいしやらせてくれ、っていう感じなんですよ。絶対王権ではあるんですけど、ちょっと違うのは、お前これやれ、あれやれじゃなくて、俺これやりたいしやらせてくれって言う方が多い。皆はじゃあいいよって言うから、じゃ俺やるわ、みたいな。
HIROCK:でもそれが時々、佐藤との喧嘩につながることがあるんですけどね。だからそれが解散の理由じゃないですかね、解散するとしたら。ウチもやりたかったんで。
佐藤:情熱があるうちはやるんですけど、何回ももうやるの嫌やとは思いましたけどね。誰も何もせえへんのにって思うこともありますけど、割り切ってしまえば、やりたいからやろう、みたいな。それを1回やるべき、それがいいんちゃうかと思います。
HIROCK:あと、ウチは音楽好きになりましたね、このバンドのおかげで。そっからなんやという感じですけど(笑)そういうのが楽しかったのもあるし、自分の性格的にこのバンドがなかったら誰ともしゃべれへんかったやろうと思うし。
佐藤:社会不適合なんで、俺達4人(笑)うちのバンドが10年続いたというか続けて来れたのは、多分こういう風に皆社会不適合なんですよ。バンドマンの中でも特に不適合なやつが集まってて、でもそこにこだわりというかプライドというか、俺ら全然あかんけどこれは絶対譲らへんみたいなのがあったからかなと。何個も若いバンドが解散していくの見ましたけど、そういうバンドって音楽以外にも道があるんですよ。結局音楽である程度成功するやつって言うのは、能力があるんですよ、人としての。社会性だったりとか。他の仕事も全然出来るんですよ。もしかしてお金の話で言えば、音楽って才能あって能力あっても売れない可能性って全然あるじゃないですか。けど、他の仕事やったら、才能あって能力あったらある程度出世したりできるし可能性があるから、そういう人には可能性のある話が集まってくるし、それでやめていくんやと思うんですよ。俺らは他のことやったら「こいつら大丈夫なんか?」っていうレベルなんで(笑)
10年経てば色んなことが変わると思います。シーンもそうですし、自分達の価値観や、社会的な立ち位置なども。10年前と「ここは変わった」「ここは変わらへん」ものは何でしょうか?
佐藤:熱量は変わってないですね、全然。やりたいという気持ちは変わってないです。でも、例えば業界がこんなにも痩せてるとは思ってなかったんですよ。もうちょっと余裕があるんじゃないかと思ってました。10年やってると色々お話しも聞く機会もあるんですけど、やっぱり皆昔程は余裕がないみたいですし、ここまで俺らも苦労するとは思ってなかったですね、それは金銭的な意味ですけど。価値観で言えば、10年というくくり、少し面倒くさい話になるんですけど、1個前のアルバムで「アイル・ビー・全部」っていう曲と「ずっと変わらないと」という曲を書いたんですけど、曲の意味合いとしては、「アイル・ビー・全部」の方は自分と言うものをどんどん外に向けて広げていったらどうなんのかというを自分の中でやってみた曲で、逆に「ずっと変わらないと」は自分の中にどんどん入っていったらどうなるのかをやってみた曲なんです
対極にある曲なのですね。
佐藤:「アイル・ビー・全部」「ずっと変わらないと」の順で書いたんですけど、「ずっと変わらないと」をやってみて思ったのが、どんどん自分の中の深いところに行くと、本能みたいなエネルギーの塊みたいなのに行き着くっていう自分の結論になって。それは指向性とかもなく、ただそこにエネルギーとして、生きるというエネルギーとして在って、それと出会ったことがもの凄く大きかったんですけど、逆に「アイル・ビー・全部」というのはそういうのをどんどん外に向けて、皮膚を超えて外に向けて広げていったらどうなるのかというのを考えた曲で、そうすると社会性というものにぶつかる。社会性と人の本能みたいなものがぶつかると、基本的には全然合致しないというか。社会は人の本能をそもそも否定してるっていう結論に至ったんですよ。本能の赴くままに生きている人間を見ると、頭おかしいとか、狂っているように見えるんですよね。例えば性欲に対してダイレクトに動いている人間っていないし、食欲にダイレクトに動いている人間なんていない、いくらおなか減ってもそれは理性のコントロール下にあるし、そうじゃないと社会の中で生きていけない。社会性というのはそういうこと、その枠組みって言うのが社会なんやなと思ってたんですよ。その次の年に東日本大震災があって、自分の中で感じている本能と社会性の軋み方というのが変わったなと思って。社会の枠が、形が変わったんやというのをすごく思いましたね。それまではもっと社会のルール寄りやったんですよ、感じが。今はあの震災の後、もっと人の気持ち寄りになってて、皆が自分の気持ちに寄って発言することを良しとするようになってると思うんですよ。Twitterが発達してたりとかそういうのかも知れないですけど、それはすごくやりやすくなりましたね。俺らは自分の気持ちの赴くままにやるタイプやったんで。そういうことしてると、外から見た時に、頭おかしいとかルール守らへんとか、そういう方向に取られてたんですけど、今は俺らがやりたいことやればいいって言っても、皆がそれを受入れてくれる感じがありますね。価値観の変化というのはそこが一番強いんじゃないかと思います。
深いですね。
HIROCK:ウチが答えられること一言しかないなぁ。10年前から変わったことでしょう?守るべきものが増えた、守るべきものに出会ったという感じですかね。
佐藤:PSYCHO küi METALLICSとしてこれは出来ひんなとか思うようなってきたな、確かに。
HIROCK:それこそ失うものがあったりとか。それは本当は売れてから言いたいんですけど、こういうことって。10年経ったし自慢させろやという気持ちで言うと、そういうのは実際にありますね。
それではあらためて2nd アルバム「IS (not) DEAD」についてお伺いしたいと思います。ジャケットの意味は先ほどおっしゃっていただきましたが、「IS (not) DEAD」の主語は何でしょうか?
佐藤:基本的にはPSYCHO küi METALLICSが入ってくるんですけど、でも、PSYCHO küi METALLICSが死なへん、IS not DEADってことは、ということも。今ROCK IS not DEADツアーと銘打ってやってるんですけど、そういう自負とかもあるんで。そこに「ROCK」というのが入るのと一緒やぞ、みたいな。
コンスタンスなリリースがある印象でしたが、アルバムとしては意外と2ndなんですね。
HIROCK:ミニアルバムとかライブアルバムとか色々やったんで。
佐藤:トータルでは4,5枚出ている計算になりますね。オムニバスも2枚くらい参加してるんで。
フルアルバムとしては何年振りでしょう?
佐藤:3年振りですね。
HIROCK:去年に配信でリリースした曲も、入っています。
「is not remix」の曲が何曲かありますね。
佐藤:去年から今年の頭にかけてフリーダウンロードというのをやってて。それの曲を全部リミックスしましたね。
リミックスは再録ではなく、ミックスのみの手直し、ですか?
佐藤:そうですね。
HIROCK:でも、全然違いますよ。
リミックスにあたっては、全曲同じサウンドの方向性ですか?
佐藤:曲調が色々なんで、曲調には合わせてはいます。ダウンロードは単体でしかもmp3、mp3にするとやっぱりmp3っぽくなるんで、そこでいい音になるようなミックスをしてたんですよ、音圧上げたりとか。このアルバムは、最近の流行の音圧ってビタビタになってるじゃないですか。それは好きじゃなくて、やっぱりナチュラルな空間があって、ボリューム上げた時に大きい音で聴こえるというのが理想やったんで。そういうのもあって音圧下げてしっかり空間作ってという感じですね。